noribooooone / ソロアルバム制作インタビュー!
- Hooky Records
- 3月3日
- 読了時間: 9分
更新日:3月25日

pygmy with bitter ends や TAPE ME WONDER の活動で知られる noribooooone が、初となるソロアルバムを制作している。アムステルダムと東京を股にかけた制作環境、今までのバンドでの音源制作とは明確に違いがあるコンセプト、その進捗状況までを伺いました。今春頃リリース予定というアルバムへの期待が、空高くまで高まっていくインタビューとなっています!
interview by 齋藤泰人(Hooky Records)
2025.03.04
ー お久しぶりです。お元気ですか?
noribooooone Hi, How's going? 僕はなんとか元気でやってますよ。
ー アムステルダムでの生活も、もうすぐ2年ですね。慣れましたか?
noribooooone そうですね、まぁ、生活や仕事といった日常生活は一通り出来てると思います。
ー オランダは日本と比較してどうですか?
noribooooone 良い悪いは別として、基本的には時差は勿論、気候、食文化、物価、気質と全く違いますね。車も左ハンドルだし、通行車線も逆。当然、言葉もオランダ語です。ただ、オランダの場合は殆どの人が流暢な英語を使えるので助かっています。似ている点は。治安の良さですかね。ご存知のようにオランダは大麻の合法化を始めとして、諸外国に比べるとルール的に寛大な面がありますが、これまで生活していて、危ない目に遭ったエピソードは殆どありません。キツいのは物価高ですかね。円安の影響もありますが、引越した当初は、つい癖でユーロを円換算しちゃって、何もかもがバカみたいに高く感じていました。若干、気候に難はありますが、自然が豊かで、皆さんとても親切だし、教育水準も高く、凄く良い国だと思いますよ。


ー ミュージックシーンはどうですか?
noribooooone 僕個人は生演奏のバンドを中心に観ていますが、オランダに限らず、欧州はクラブミュージックが中心だと思いますね。最近観たオランダのロックバンドだとDeWolff、TAPE TOYといったバンドが、良かったですね。
ー 沢山ライブを観ていますよね。作詞作曲に影響を受けましたか?
noribooooone 勿論、それなりに好きだったり興味があるから観に行っているのですが、音楽創作そのものというより、ライブ表現の質やアティテュード、パフォーマンスやショーとしての完成度、そして垣間見えてくるその人となりに感化されていますね。
ー オランダ料理はどうですか?
noribooooone コロッケの元祖と言われるKroket(クロケット)を中心として、とにかく芋料理が多いです。そもそもフランス、イタリア、スペインに比べると、オランダ料理ってあまり聞いたこと無いですよね?そういう事だと思います。
ー 確かにあまり聞かないですね。海ありますよね?シーフードとか?
noribooooone 確かに海はあるけど、そんなにシーフード推しって感じではないですかね。ハーリング、サーモンや、ベルギーと近いので、ムール貝の酒蒸しとかは美味しいけど。

ー 料理と言えばSNSで手作り弁当を見かけます。
noribooooone 特に11月以降のオランダは、日が短い上に、曇り空が長く続くので、せめて料理くらいはカラフルにと考えまして。その流れで、生まれて初めて自作弁当に挑戦した次第です。
ー 綺麗に盛り付けてあって繊細なお弁当ですよね。女子力上がってませんか!?
noribooooone 女子力は男子なんで別に要らないですね。要は凝り性なんですよ。
ー 確かに、音楽もそうですもんね。現在ソロアルバムを制作中だそうですね。
noribooooone 半分、引退するつもりでもいたんだけど、気がついたらやっちゃってましたね…
ー 収録する楽曲はアムステルダムで作詞作曲したものですか?
noribooooone 元ネタ自体は、日本にいる時から作っていたものもあるけれど、基本はアムスで全曲、作詞作曲はやりました。
ー アルバム制作のキッカケは?
noribooooone 一言では言えないけれど、昨年は、父が亡くなったことを始めとして、自分の人生の中でこれまでになくアイデンティティを喪失した一年でした。ひどく精神が不安定な状態の中で、どうしようもなくしがみついたのが音楽だったということです。
ー ソングライティングに没頭した?
noribooooone 一応、暇つぶし用に、日本から何本かアコギや宅録機材を持っていってたんで、限られた機材を使ってやりました。
ー 初のソロ作品という事で、バンドとは作詞作曲に変化はありましたか?
noribooooone やっぱり、今までのバンドがメインの作詞作曲とは全く違いますね。ライブで再現することは全く意識していないし、やれるかやれないは別にして、より自由は自由です。
ー ソングライターとして新たな挑戦ですね。
noribooooone 勿論ライブは、多少形を変えれば演奏自体は可能だと思いますよ。バンドはやっぱりメンバーとの集合体なんで、やはりメンバーのやりたい事も意識しながら作っています。その縛りが面白い作品を生むこともあるし、特にロックバンドは、時間が経つに連れて深まっていく良さもある。今回、自分の中で最も大きな挑戦は、バンドや誰かの為に曲を書かなかったこと…全曲、自分の為に書いたということです。バラエティを出すために、敢えて何曲かはバンド寄りのサウンドにしましたが、基本的に、より内省的でパーソナルなものになっています。作詞でいうと、収録曲の半分は英詞という挑戦もしてみました。
ー “パーソナル”がキーポイントですね。
noribooooone そうですね、間違いなく。

ー そのパーソナルな部分を少し掘り下げたいのですが、作品のテーマとか作風はこれまでのTAPE ME WONDERやpygmy with bitter endsとは違うのでしょうか。
noribooooone 最初からテーマを決めていた訳ではないのですが、今回の作品は、2024年という年に、僕がどうしようもなく陥ってしまった孤独と鬱の状態から、どうにか自力で立ち直るまでの軌跡が描かれています。バンドの曲は、やはりメンバーの代表で書いている意識もあるので、ここまでパーソナルな感情を出すのは難しい。寧ろ、常に仲間やバンドがあって、賑やかだった日本での日々とは対照的な作品になっていると思いますね。
ー アウトプット(作詞作曲)によって心を保ったんですね。冒頭でも「気がついたらやっちゃってましたね。」と仰ってました。
noribooooone そうですね。まさに一度失った己のアイデンティティを取り戻す作業でした。だから本作は、楽器に関しては他の優秀なミュージシャンにお願いしていますが、言葉が関わる歌やコーラスについては、極力独力で全てやっています。それが正しいことな気がしたから。
ー リリースするという事についてはどうでしたか?
noribooooone 最初に3曲程一気に作り上げたんですけど、その時は単純に無我夢中で、リリース等はあまり考えていなかったですね。曲数が7,8曲になった時に、アルバムスケールを考え始めました。あと、残したいと思えるような楽曲が沢山書けたのも大きいかな。


ー TAPE ME WONDER の”PRIZE”はビクタースタジオという憧れの場所でのレコーディングでした。今回はどのような方法でレコーディングしてますか?
noribooooone せめて一人は客観的な視点が必要だと思ったので、日本の信頼しているエンジニアさんとオンラインでやり取りしつつ、基本的にベーシックは全曲、アムステルダムの自宅にて自分で録音しています。
ー 自分で録音しているとキリがなくなってしまいそうです。ディレクションはどのように?
noribooooone まさに終わりなき沼で、自分でも信じられないような集中力が出て、明け方まで寝ずにやり続けたりもしましたが、やはりこれ以上は無い、特別なテイクというのは自分で自然と分かってくるものでして。まぁ、結局は自分との戦いでしたけど。
ー そうなりますよね。
noribooooone アレンジ上で欲しい音については、日本のスタジオでエンジニアさんと録音したり、マッチするであろう素晴らしいミュージシャンとオンラインでやり取りをしたり、必要であれば東京のスタジオで録音したりしています。つまり、アムステルダムと東京の両都市で発生した空気の振動が、ガッチリ融合された作品ということになりますね。
ー 「アムステルダムと東京の空気の振動が融合」って聞いただけでワクワクしますね。
noribooooone やはり、周りの環境というのは、表現にも確実に影響をもたらすもので、もしも変わらずに日本で暮らしていたら、きっと書けなかったであろう楽曲は本作には沢山あります。同時に東京は、世界有数のメトロポリスでありつつ、僕個人の中でも間違いなく世界一、思い出が詰まった街でもあります。アムステルダム、東京の両都市は、規模も文化も全く違いますが、僕が愛する二つの都市の空気感を作品に入れ込むことは、今作の大きなテーマのひとつでしたね。


ー そこにゲストミュージシャンが彩りを添えるわけですね。
noribooooone 幸運なことに、これまでの長年のバンド活動の中で、多くの素晴らしいミュージシャン達と出会うことが出来ました。各バンドの垣根無く、曲の個性や特性に合わせて、ミュージシャンの組み合わせを主体的に考えるのは、以前からやってみたかったことだったし、本作の制作においても、とても大きな喜びの一つでした。例えば、僕にはpygmy with bitter endsとTAPE ME WONDERというバンドがありますが、両バンドのリズム隊、Sabone(Dr.)とPe(Ba.)をかけ合わせてみたり、それ以外にも(本人達もまだ知らないと思いますが)別々に頼んで、密かに意外な組み合わせも試してみたりもしました。結果的に、予想以上の成果が出たと思っています。後ほど種明かしをするのも楽しみだし。
ー 侍ジャパンの監督になったみたいですね(笑)
noribooooone ま、とても小さなコミュニティだけど、そういうことになりますね(笑)。大変有難いことに、今回、曲を聴いて断られた人は一人もいませんでしたね。ちなみに、知り合いのオランダ人女性にも、ちょこっとだけ参加してもらってます。

ー アルバムの進捗状況はいかがですか?
noribooooone 最終的に、アルバムに何曲収録するかはまだ決めていないですが、今現在は少なくとも12,13曲の録音が終わっています。まだ何ヶ所かミュージシャンに録音をお願いしているパートも残っているけど、2月中に録音関連は全て完了すると思いますね。MIX作業やアートワークについても同時進行で進めていますが、そっちはこれからが本番ですかね。
ー 今回のアルバム制作を通じて何を感じましたか?
noribooooone アルバム制作とはまた次元が違う話ですが、少なくとも、思っていた以上に脆く弱かった自分と、今まで以上に真正面から向き合う必要があったし、それは決して楽なことではなかった。でもそれを、音楽表現に昇華出来たのは、自分らしい解決策というか、本当に音楽があって、僕は幸運でした。
ー 内面を掘り下げたアルバム。楽しみにしている音楽ファンが沢山います。是非、良い作品を作り上げて下さい。
noribooooone ありがとう。やはり人間、環境が変われば感じることや、表現も変化します。これまでのバンドとはまた違った作品になるかと思うので、是非、期待していて下さい!

noribooooone
PG名義でGQ06にて東芝EMIよりデビュー後、数々の新人アーティストのディレクション等を手掛ける。現在は仕事の関係でアムステルダム在住ながら、pygmy with bitter ends、TAPE ME WONDER、Mellow Monk Connectionなど多岐に渡るプロジェクトを継続中。お酒が入るとついつい饒舌になりがちだが、本当は人見知りの愛犬家。旅とブログ、サウナとミニクーパー、レコードとアートがキーワードの、好奇心に抗えない大人である。この春には、アムステルダムで録音した、待望のソロアルバムがリリース予定。
LINK:TAPE ME WONDER(official)
LINK:ココロノレイトウコ(blog)
LINK:X