2021年2月21〜22日に名門ビクタースタジオにて3rd Albumのベーシックトラックのレコーディングを行なったTAPE ME WONDER。レコーディング直後のリズム隊、Pe(Bass)&Du(Drums)にインタビュー!
interview by 齋藤泰人(Hooky Records)
2021.04.16
ー レコーディングお疲れ様でした。まずは率直な感想を聞かせて下さい。
Pe お疲れ様でしたー。今言えるのは、ひとまず「ようやった!」って所かな、関西弁で(笑)
自分にもメンバーや、もちろんスタッフさんも含めて。現場の環境に面食らったのは言うまでもないけど、人生初のアナログレコーディングだったし、どぎつい緊張感の中で全てを出し切ったって感じですね。
Du お疲れ様でした!素晴らしい環境、アナログ録音と、全てがお初尽くめで、スタジオに来て圧倒されそうでしたが、自分が叩いた録り音を聴いた時はテンション上がりましたね!音良すぎて!今回の9曲は、内容的にもほんとハードで、スタジオでもかなり追い込んだし、本番は限られた時間内で出せる力は全部出せたと思います。ちょっと本番に強いんかなって勘違いするぐらいやり切れました(笑)
ー そもそも、あの環境でレコーディング出来るバンドは滅多にいないですよね。
Pe ホントに。そこはノリくん(noribooooone)に感謝です。ノリくんがここまで歩んできた経験値が我々とはまるで違うから。アーティストとしてだけではない一面もあるし。コネクションも含め、全てを利用させてもらった形になります。
Du (本作の担当エンジニアの中山さんは)すごい気さくな方で、褒め上手ですね!順調に進められたのも中山さんがいたおかげです。こちらも気持ちよくプレイできたし、上手くいかないときも的確なアドバイスでスッキリ解決したりと、さすがの経験値を実感しました。すごい人なんだなーの一言。
Pe 中山さんねー、最高ですよ。レコーディングエンジニアとしては言うまでもなく、キャリアも技術も最高峰の方ですが、それ以前に人として素晴らしい。
バンドでの初対面は我々のリハーサルのスタジオだったんだけど、俺その時は変に緊張してまともに演奏出来なかったのね。これじゃまずいぞと。その後はノリくんにお願いして、中山さんとの打ち合わせにはできるだけ同席させてもらいました。
中山さんと何とか打ち解けておきたいなって気持ちと、これから自分たちがやろうとしてることを少しでも理解しておこうって思ってね。「アナログ?テープ?何が良いの??」状態だったので。恥ずかしながら。
実際は話がプロフェッショナルすぎたのと、ノリくんトークのランボー並マシンガンっぷりで俺はほとんど喋ってないんだけど(笑)
ー 想像つきますね(笑)
Pe その甲斐あって、ちょっとしたバンド内の揉め事も見せられるくらいには打ち解けることができました笑。実は今年に入ってから体調も良くなかったんだけど、「いい音鳴らしてるよ」って声をかけてくれて自信を持たせてもらったり、メンタル面でも色々支えてもらいました。REC当日も積極的にアドバイスくれたりと、一緒になって良い作品を作っていこうっていう気持ちがこっちに伝わってくるんですよ。雰囲気づくりとか、「その気にさせる」術を持ってる人だなーって思います。
ー メンバー4人がブースに入ってレコーディングしてる時(メンバーに声が届かない環境)でも中山さんはリズムとりながら「良いね〜!カッコ良いね〜!」って言ってましたよ。
Pe それは素直に嬉しいですね。アシスタントの後藤くんと山内くんも良くやってくれました。
ー レコーディングでリズム隊として意識した点を教えて下さい。
Du あえて意識した事とかはないですよ。リズムなんてそもそも一夜漬けでできるようなもんじゃないし、Peとももう10年以上一緒にプレイしてるし、お互いの信頼度は両思いクラスですよ!自分達の力を信じるしかないって感じですよ!"羽衣"の最後は自分もびっくりしました!
Pe 確かに、特別意識した点とかは無いのかな。リズム隊というくくりでは。もちろんデュっさん(Du)とはお互いにフレーズの擦り合わせとかはみっちりやったし、詞を受け取ってからは、言葉に合わせたブレイクのタイミングとか16分単位で細かく決めたりもしました。でもアレンジについては、リズム隊に関わらず全員でやりましたね。ほんとに今回のレコーディングに向けては誰一人として「我関せず」となるような所は1箇所もなかったんじゃないかなぁ。
とにかく、ボーッとしてる暇なんて全く無い日々でした。必死に人のフレーズ聴いて自分のフレーズやプレイを見直して、試して考えて試して考えての繰り返し。特に俺の場合は音符のとり方一つ変えるだけで曲の雰囲気壊しちゃう楽器担当なんで、集中しすぎて頭痛くなってメンバーに心配されましたよ。お前脳梗塞とかじゃないだろうなって。いい歳こいてるんだから頭痛いとかシャレにならんぞってね(笑)
ー TAPE ME WONDERのスタジオはいつも真剣ですもんね。
Pe そうそう、話がそれちゃったけど、強いてリズム隊としてのポイントをあげるとしたら、デュっさんを100%信頼してベースを乗せたって事だけですかね。当たり前なんだけど。ドラムは相当やり込んでくれてたんでその信頼は1ミリもブレること無くRECに臨めました。ある意味、俺はだいぶ楽させてもらったって言えるかな。だってさ、曲頭でガイドテンポだけ出して、あとはノークリックで最後まで♩=126をキープして叩き続ける事ができる男なんですよ。一発録りで、最初と最後しか出てこないギターのフレーズのディレイタイムとピッタリ合ってるってね。頼りになるって言うか、もはや変態ですよ(笑)
ー 2人は色んな意味で似てますよ(笑)
Pe 俺は変態じゃないよ?
Du おっさんになるとみんな一緒じゃないですか!?そういうくくりでPeも十分変態です!
ー レコーディング中にいつの間にかDuがPeのパーカーを着ていたという「パーカー事件」もありましたね(笑)
Du いや、あれね〜ほんと気づきませんでしたわ。スタジオ内を行ったり来たりしてたので、聴くときは羽織って、叩きに行く時は脱いでを繰り返してるうちに入れ替わってましたね。しかも晴れ舞台なのに、全く一緒のパーカー着て来てるし、ほな間違えますわ!
Pe 突き詰めすぎて、服までシンクロしちゃったのかね。双子か!っつーの全く。ちなみに、勝手に俺の着たり脱いだり自分のを着たり脱いだりして、最終的に「これ俺の服ちゃう!誰のや!」って騒いでたのは、デュっさんだけどね。とんだお騒がせ野郎です。
Du ペアルックやっちゃいましたー。
ー 今回のアルバム制作の切っ掛けは?
Du それはやっぱりいい曲が出来たからじゃないですかね。
Pe 実はアルバム制作ってなったのは最近です。スイッチを入れたのは中山さん。多分。前から「そろそろレコーディングしようよ」という話はあって、その時はEPというかミニアルバム的な構想だったと思うんですよね。それも1年以上前の話だったと思います。その時は具体的な所まで話が進まずにいたんですよ。
ー ずいぶん前から話があったんですね。
Pe そのうちに中山さんが録ってくれるかも?って話が出てきて。半年くらい前だったかな。もっと前だったかも。最初にノリくんに言われた時は半信半疑で「マジすか、それ最高っすね、ギャラも最高なんでしょうね」くらいな感じでしたよ、正直。そんな事ありえないって思ってましたから。てか「なんでそんな人とコネクション持ってんの?」からスタートです。
ー 確かに。そう思いますよね。
Pe それが次第に現実味を帯びてきて。中山さんに生音聴いてもらうって所まで来て、そこからだね。アナログ→ビクタースタジオまで一気に話が進んだのは。「やるからにはとことん派」のノリくんに引っ張られて、さらに録音する曲を増やして、結果、これってアルバムだろって事に。
Du ケツ叩かれないとなかなか火が付かないっていうのもありましたね(汗)
Pe ご存知の通り、前作の「NEVERTHELESS」が本当に良くできた作品だったので、それを超えるものが作れるのかという自分達への挑戦も含め、こんなチャンスを逃す手はないぞって気持ちで制作に向き合いました。
ー 大作の後はサラッとした作品をリリースするアーティストも多いのにTAPE ME WONDERは茨の道を進みますね。
Pe ドMなんでね!
ー 愚問聞いちゃいます。お気に入りの曲を教えて下さい。
Pe くー、それはキツイ質問ですね。全部に決まってるじゃないですか。
ー ですよね。
Pe ベーシックトラックを録り終えてから、ラフミックスを毎日聴いてウットリしてますが、正直どれも最高ですよ。この段階で強いて挙げるとしたら俺は"Grand Funk Road"かなあ。ミュートを効かせたタイトなスネア。一瞬でグルーヴ感じさせてくれるアコギのカッティングの音。2235にしては控えめな、それでいてツボをつくようなギターのフレーズ。自然と小気味良く聞こえる俺らしいベース(笑)。バンドのレパートリーの中では、これまでやって来なかったタイプの曲だけど、全てが相まって完璧なバンド演奏だと思います。とはいえ全曲ともこれから乗せていく音もあるし、何よりまだ歌が吹き込まれてないからね。他人事のようだけど、今後が楽しみです。
Du なかなか「これ!」って決めれないけど、"ムーンライダー"は曲ができた時からお気に入りですね。アルペジオと16ビートのリズムが細かい曲で、演奏のしがいもあるし、繊細でいい曲ですね。かなり完成度が高い曲だと思います。
ー アルバムリリースを待ち望んでるリスナーへ「ぴーや禁止」でメッセージをお願いします。
Pe 今回は我々のエキスを一滴残らず絞り出して詰め込んだ作品です。心に響く言葉と沁みわたる音を楽しんでもらえると思います。音楽フリークだけじゃなく、現役のバンドマンにも是非聴いてもらいたいですね。今は配信という便利な媒体が主流になりつつありますが、是非CDやレコードを手に取ってジャケットのアートワークを楽しんだり、開封するワクワク感とか、プレイヤーにセットして最初の一音を聴くドキドキとかを、改めて感じて貰いたいです。環境があれば是非アナログ盤(レコード)も手に取って欲しいです。我々の作品に限らずですけど、ライブハウスでバンドの手売りのCDを買ったり、ショップでジャンルの棚を探してイニシャルAからたどって目当てのCDを買ったりして、家に帰る電車の中で歌詞カード読んで妄想膨らますとか、そういった昔ながらの楽しみ方を、もう一度体験して欲しいなと切に思います。
Du Peがだいたいカッコつけてええ事言ってるので特に付け加えて言う事はないですが、魂込められてるので、今回はより一層音で感じる事ができるじゃないかと思います!自分も楽しみなんですよ!まさにこれがソウルミュージックですな!
Pe ぴーや!
LINK:レコーディングリポート