グローバルな仕事をこなしつつ、バンドやユニットと、益々表現のフィールドを拡げるnoriboooooneの生い立ち、私生活、バンド歴、表題へのスタンスを、洗いざらい掘り下げたロングインタビュー!前編、中編、後編でお届けします!
interview by 齋藤泰人(Hooky Records)
2018.12.06
インタビュー前編:幼少期〜GQ06時代までを総括!
ー ではインタビューを始めます。よろしくお願いします。
nori どうもこんにちは、noribooooone(以下:nori)です。TAPE ME WONDER(以下:TMW)、pygmy with bitter ends(以下:pwbe)といったバンドや、Mellow Monk Connection(以下:メロモン)に参加しています。愛犬家で一児の父でもあります。
ー 以前から不思議に思っていたのですが、メロモンではPG名義で活動されていますが何故ですか?
nori 一番の理由は単純に皆がそう呼ぶからですが、メロモンの2人(hatch、3syk)は完全に同世代だし、これまでほぼ同じようなキャリアを積んでますから、なんか自然なんですよね。あと、求められている音楽性や役割がGQ06時代に近いというのもあります。
ー と言いますと?
nori 楽器の演奏やトラックメイカーではなく、シンガーやラッパー的な立ち回りという意味で。
ー なるほど。スッキリ(笑)。さて、最近の一番のトピックと言えば、息子さんのお誕生ですね。おめでとうございます!
nori ありがとうございます。お陰様でジャストライクタケノコってな感じで、スクスクと健やかに育っていますよ。
ー 子育てはいかがですか?
nori ひよこクラブ的に言うと、親も子も初めての体験なんで、お互い様だし、恐らく一緒に成長しているというのが実情ですかね。
ー 毎日、「ココロノレイトウコ」(noriboooooneのブログ)でお子さんの成長をチェックしてます(笑)。
出会いや仲間には怖いくらい恵まれた人生だと思います
ー そういえばブログも随分、長いこと続いてますよね?
nori ライフワークに近い感じで続けてますが、最近、ブログの役割って何なのかも分からなくなってきてますね。
少し前のBBSみたいに、中途半端で時代に取り残されつつある感じが、意外と気に入っているのもありますが。
ー CDと立ち位置は似てるかもしれませんね。
nori 実体を伴った商品という意味では、CDはブログとは違うけど、時代に取り残されつつある感じは、確かに似ているかも知れませんね。
ー なるほど。「The Times They Are A-Changin'」って事ですね。では逆に現代風なクラウドファンディングなんかは、どう思いますか?
nori 勿論否定はしないし、画期的なシステムだと思いますが、なんとなく、向いているバンド(プロジェクト)と向いていないバンド(プロジェクト)があるような気がするんですよね。
メロモンなんかは利用しても面白いと思いますが、TMWやpwbeはあまりピンと来ないかな。気の利いたリターンも思いつかないし。
ー 基本的には事前の資金調達が出来るのであれば必要無いですもんね。
nori どのバンドも資金調達は常に課題だと思いますが、昔に比べれば制作コストも落ちたし、自分達で出来ることも増えましたからね。
メロモンが向いてる訳は、例えばレコード盤を作ったり、思いもよらないアーティストとコラボレーションしたり、映像世界とリンクしたりと、出資者が参加出来るような余地があるからです。あと3sykというマネージメントを出来る人間がいるというのも大きい。
対して、TMWやpwbeといったバンドスタイルだと、音楽的、時間的な制約に相性が悪いように思います。
ー なるほど。普段から色々と考えていますよね。どのような事が主たるインプットになっていますか?
nori インプットは、旅や光景、映画やレコードといった日常にありますが、やはり一番は人との出会いですね。お陰様で、出会いや仲間には怖いくらい恵まれた人生だと思います。
ー 最近、観たライブでは何かありましたか?
nori 衝撃的だったのは、パリで観たArrested Developmentかな。元々古くから大ファンだったけれど、完璧なエンターテイメントでした。あとは東京JAZZで観たGO GO PENGUINも素晴らしかった。
ー Arrested Developmentをパリで観るなんて羨ましい!
nori 確か30周年記念のツアーだったんじゃないかな。まさかライブハウスの規模で観れるとは思いませんでした。
シャイな幼少期から音楽活動に没頭する日々へ
ー どのような幼少期を過ごしてきましたか?
nori 元々、相当シャイな性格で、一人遊びが好きな少年でしたが、何故か、かまってくれる連中が周りに沢山いたんで、彼らに連れられてよく外に出てましたね。ローカルなゲームセンターとか。
ー 何歳ぐらいの時にロックに目覚めたのですか?
nori ロックというか、音楽に目覚めたという意味だと、小学生の頃に観ていた「ベストヒットUSA」という小林克也さんの番組やFMラジオ、通っていた「YOU&I」という貸しレコード屋がルーツですかね。ロックに目覚めてるかは、今もって不安です。
ー ロック少年のイメージが強いですが、必ずしもロックっていうわけでは無いんですね?
nori 昔から、激しい音楽と同じくらい優しい音楽が好きなんですよね。自分の中ではその二つを分けたりしてないかな。
ー そうなんですね。数限りなくあると思いますが、具体的にはどのようなアーティストを聴いていましたか?
nori 家にあったThe Beatlesや井上陽水、オフコースのレコード達が切っ掛けだったと思いますが、そこからREM、U2、Elvis Costello辺りからメタルやニューウェーブ、フォーク、ファンク、ヒップホップ、ソフトロックなど、ドンドン無節操に広がっていった感じですね。
ー プレイヤーとしての活動の切っ掛けは?
nori 子供の頃、声変わりが遅かったのか、ボーイソプラノみたいな感じで、合唱コンクールで女子に混ざって歌うくらい声が高かったんです。
普通にオリジナルキーでオフコースを唄えたことで、先輩に文化祭のステージのコーラスに誘われたのがファーストステージでした。
セカンドステージは、高校時代に出会ったギターリストに「お前の声が好きだ」と言われたことかな。ちなみにギターも最初は彼から教えてもらいました。
ー オリジナルはいつ頃から?
nori 確かその高校時代の相方と、彼の彼女に捧げた曲ですかね。彼女の誕生日にカラオケボックスで生演奏をさせられたな。
ー 今でもその曲を覚えてますか?(笑)
nori 流石にタイトルは忘れたけど、その時にThe Beatlesの「Baby,It's you」と、EXTREAMの「More than words」を演奏したのを覚えてます。あ、今思い出した…確か「Rainy day」というタイトルでした。
ー 青春の一コマですね〜。そこから、どの様にしてバンド活動に没頭して行きましたか?
nori 高校時代の相方とは「トム&ハック」という名義でボチボチ活動しつつも、高校卒業と共に自然消滅(相方は後に有名なギタリストになるもバイク事故で夭折)。
大学時代以降は、音楽サークルの寒さに絶望しつつも、地元のアルバイト先にミュージシャンが多かったこともあって、3つ4つくらいバンドを掛け持ちしてましたね。
超絶プログレッシブロックバンドのSignals、GARACTA(後のGQ06)、イルカ団(後のpwbe)がメインでしたが、地元の選抜メンバーでコンテスト用のバンドにも参加したりと、今思えば節操もなく、なかなか慌ただしい日々を過ごしてたかな。
ただライブで仲間達と大騒ぎ出来ればいいと思って始めたバンドだった
ー 後にGQ06でメジャーデビューを果たしますが、それはどんな経緯だったんですか? nori 正直な話、GQ06の結成当初は、ただライブで仲間達と大騒ぎ出来ればいいと思って始めたバンドだったんですよ。 でも、何年かのライブ活動をした後に、自主レーベルからリリースした「アナログ24」というアルバムが予想外に話題になりまして、その流れで、東芝EMI(現ユニバーサルミュージック)さんに声を掛けてもらいメジャーデビューしたというのが、超ざっくりした経緯ですね。 ー そこで得た経験は、どんな物でしたか?
nori まぁバンドにいれば、ネガティブなこともポジティブなことも色んなことがあるけれど、バンドのリーダーとして、事務所の代表として、多くの得難い経験をさせて貰ったと思っています。 誰でも経験出来ることでもないと思うので。 ー 事務所もnoriがしていたのですか? nori 元々、レコード会社(東芝EMI)からバンドに直接オファーがあったので、その流れでバンドで事務所機能を兼ねることになり、メンバーの中で唯一、社会人経験のあった僕が担当することになりました。
常にバンド内にライバル関係があり、その軋轢こそが面白い表現に繋がっていた
ー では(解散してしまった)GQ06は何が足りなかったのでしょうか?
nori GQ06の時は、皆若かったというのも大きいですが、各メンバーの野心や現実や状況が、余りにも違い過ぎたし、そこでの僕のリーダーシップも常に迷っている状態で、最終的には全てにおいて抱え切れなくなっていました。
端的に言うと、GQ06は、性格的な部分は別として、それぞれが自分のバンドを持てるようなレベルのメンバーが複数人いたんです。だから、常にバンド内にライバル関係があり、その軋轢こそが面白い表現に繋がっていたんだとは思います。ただ、そう言った意味では、10年もよく続いたなとも思っています。
綺麗事を抜きにすれば、結成から10年も経てば、どんな人間関係でも変化します。だからそれ以上続いているバンドというのは、ある意味、極力ストレスのない、互助的なメンバー関係になっていくのが自然とも言えるんですね。
ただGQ06については若さ故に、その前に燃え尽きてしまった。
でも、それはそれで当時、闇雲に精一杯やった結果なんで、後悔はしてません。
ー でも最近、GQ06のメンバーとも仲が良さそうですね?ライブもやりましたし。
nori さっき言ったように、10年も経てば大抵の人間関係は変化する訳で、そこにはネガティブな変化もありますが、ポジティブな変化もあります。やっぱり10年もあれば、それぞれ家庭を持ったり、仕事も変わったり、多くの変化がありますよね。僕が地元に戻って、最初に皆で集まった時は、その変化と逞しさになんだか感動してしまいました。
元々GQ06は地元のコミュニティーからスタートしたバンドなんで、根底にあった地元の仲間、後輩、という関係性に戻った感じです。 だから近くのコンビニとか地元のお祭りとかで、しょっちゅう再会してますよ。
もっとも、10年前と全く変わっていないLow-key(b)のようなメンバーもいますが、それもあのバンドの面白さですね。